「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り」 (エレミヤ1章5節)
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今回からはエレミヤ書に入ります。エレミヤは南ユダが滅ぼされる、そのような時期に活躍した預言者の一人です。1章1節には、「ベニヤミンの地アナトテにいた祭司のひとり、ヒルキヤの子エレミヤのことば。」とあります。アナトテとは、エルサレムの北東4キロほどにあった寒村です。エレミヤはこの貧しい村で、祭司の子として成長します。2節には、「アモンの子、ユダの王ヨシヤの時代、その治世の第十三年に、エレミヤに主のことばがあった。」と書かれています。ユダの王ヨシヤは宗教改革を成した王として有名です。ヨシヤ王の働きについては、旧約聖書の第二列王22、23章に書かれています。彼の祖父であったマナセ王は、反対に最も悪い王として有名です。第二列王21章16節で、「マナセは、ユダに罪を犯させ、・・罪のない者の血まで多量に流し、」と紹介されています。預言者イザヤはこのマナセによって殺されたとの伝承が残っています。マナセ王はエルサレムで55年間王であった。その結果、聖書の教えから離れ、偶像崇拝に陥ってしまったユダ王国がそこに存在したのです。このような状態に陥った国で、ヨシアは八歳で王になり、エルサレムで三十一年間王として立たされ、多くの改革をなすことになります。このヨシヤ王の治世の第十三年に、エレミヤは神からの召命を受けます。今日は、エレミヤの召命の記事を一緒に読み、その中から大切ないくつかの点を学んで行きたいと願っています。それでは、エレミヤ書1章をお読みください。
エレミヤに向かって、神の召命の言葉が、1章4-8節に書かれています。5節には、「わたしは、あなたを胎内に形造る前から、あなたを知り、あなたが腹から出る前から、あなたを聖別し、あなたを国々への預言者として定めていた。」とあります。あなたを知り、聖別し、定めていた、とエレミヤに神は語りかけておられます。あなたを知るとは、創世記18章19節では、アブラハムを選び出したと訳されている言葉が使われています。選び出した、知った、との意味を持つ言葉を用いることで、エレミヤを選び、神は親しい交わりにおいて彼を育てて行くとの思いが含まれています。神様は私たちの人生も知っておられます。そして、私たちをエレミヤ同様に有用な信仰者として育てようとされておられるのです。あなたを聖別している、定めている、との神の語りかけは、マナセ王によって汚されてしまったユダの地において、神がお立てになる預言者として、地の塩、世の光としての確かな歩みをするようにとの神の思いが含まれています。今、世界中に悪政が拡大しています。私たち一人一人が、もっと神を信頼し、地の塩、世の光として成長する時となるように願っています。
続いて、神は語りかけます。7節には、「わたしがあなたを遣わすどんな所へでも行き、わたしがあなたに命じるすべての事を語れ。」とあります。神が遣わし、神が語りかけるのです。神の語りかけは、エルサレムが滅ぼされるとの厳しい言葉を含みます。しかし、罪を犯し、偶像礼拝に陥った民への神の裁きの言葉も恐れずに、そのことを伝えなければなりません。それが預言者の働きです。私たちもエレミヤと同様に、み言葉を信じ、聖霊の導きで、示されたみ言葉をこの社会で語る者でありたいと思うのです。そのことは、9節、10節に続いていきます。神がエレミヤの口に触れる、わたしのことばをあなたの口に授けた、との表現は、預言者の働きが何かを良く示しています。預言者は神の言葉を預かって語るのです。恐れないで語る、その働きがエレミヤに求められています。その神の言葉は、10節にあるように、引き抜き、滅ぼし、建て、植える力があるのです。
続いて、神はエレミヤにいくつかの幻を見せます。まず、アーモンドの枝です。12節に見張るとの言葉が出てきますが、見張るとアーモンドとは同じ語源の言葉です。神様は、エレミヤにあなたの歩みを私は見張っているよ。しっかりと歩みなさい。預言者としての苦しみも悩みも私は知っているから、と語りかけています。神の見張りの中に生きることは本当に幸いなことであると私は思います。2つ目の幻は13節にあるように、煮え立っているかまです。このかまが北のほうからこちらに傾いているとあるので、バビロン軍の侵入が迫っている様子を表しています。バビロンに捕囚とされる現実が確かに起こるのです。その理由として、16節に、「わたしは、彼らのすべての悪にさばきを下す。彼らはわたしを捨てて、ほかの神々にいけにえをささげ、自分の手で造った物を拝んだからだ。」と書かれています。神のご計画は変わりません。罪を犯した南ユダは裁かれるのです。しかし、そんな民を神は愛されて、悔い改める者を神は赦されます。さらに、新しい時代を神は用意しておられるのです。それらのことをエレミヤは後に語ることになります。少し見てみます。エレミヤ31章3-4節には、「永遠の愛をもって、わたしはあなたを愛した。・・おとめイスラエルよ。わたしは再びあなたを建て直し、あなたは建て直される。」と書かれています。イスラエルの回復と、31章31節で、新しい契約が結ばれることが語られています。神の裁きと共に、神の大きな回復の業を、また新約の時代が来ることをエレミヤは預言することになります。
18-19節では、貧しい村で育ったこのエレミヤを、城壁のある町、鉄の柱、青銅の城壁とした、と書かれています。神はエレミヤの語る言葉を、ユダの王も、首長たちも、祭司たちも受け入れざるを得ない言葉とすると語られたのです。神の言葉を預かって語るエレミヤの言葉に勝る者はいないとの約束です。私は、聖書の言葉こそ権威あるものであると信じる者です。そのように神は、若いエレミヤに語りかけておられます。テモテ第二3章16節には、「聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。」と書かれています。このみ言葉のように、エレミヤの語る言葉は、城壁、鉄の柱となって行くのです。
神は私たち一人一人の人生を知り、世の光として生きるように選んでくださっています。前回のメッセージで私は、「わたしが目を留める者は、へりくだって心砕かれ、わたしのことばにおののく者だ。」(イザヤ66章2節)との言葉を取り上げました。私たち信仰者は、神のことばにおののく者たちです。また、神の言葉は私たちの柱であり、城壁ですとの信仰を持って生きる者たちです。神のことばに聞き従う、そして、聖書の言葉を力強く分かちあう者でありたいと願っています。
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